就活のおもいで(発達障害者)

 現在、都内の大手メーカーの障害者枠で就労中なのだが、記憶が薄れないうちに新卒発達障害者の就職活動(事務職)について書いておこうと思う。

 

自分のプロフィール
東京住み・親と同居・中堅私大卒

・障害の程度

 大学3年秋に広汎性発達障害精神障害者手帳3級取得。通院・服薬なし。

 比較的軽度だが、雑談が苦手で会話の途中でどもったり固まってしまうことがよくある。思い込みが激しく、物をなくすことが非常に多い。

 WAIS-3スコアは110くらい。言語性IQ>>動作性IQ(40以上差があったような記憶)

 

・就活前にやったこと
 週2くらい発達障害者向けの就労支援施設(以下施設)、まあ就活の塾みたいなやつに通って面接の練習や履歴書の作成をしていた。大学3年夏~3年冬まで想定問答集(面接の台本みたいなやつ)をひたすら書く→職員の人に内容を添削してもらう→スラスラ喋れるようになるまでひたすら暗記、という流れで面接対策を行っていた。慣れたら職員の人と一対一で模擬面接。これをずっとやってたので喋りに関してはだいぶ改善した。(入社したら元に戻った)
 

 就職できたのは半分くらいこの施設のおかげだが、金がかかるので入りたい場合は親と要相談。まあ自分の場合親に強制的に入れさせられた。めんどくさかったが、片道20分位の距離にだったので何とか通うことができた。往復一時間半くらいかけて来てる人もいた。


 あとSPI検査の問題集をずっと解いていた。数学が苦手な人は早めに練習しといた方がいいと思う。入社後にたまたま色んな人のSPI検査の得点を見る機会があったのだが、多分偏差値50くらいが足切りラインになっている印象。

 ただし超人気企業(資●堂とか)は障害者枠でも全く手加減してくれない。本気で勉強しないと厳しいと思う。まあ普通の企業なら50%くらいの正答率で充分だろうし、SPIの結果が悪くても面接で好印象だったので採用すると言ってくれた企業もあったので、数学のおさらいだけしとけば十分だと思う。
 当たり前だが、性格検査の質問は馬鹿正直に答えないこと。

 

・大学3年秋からの就職活動について
 1日インターンみたいなのに申し込みまくる(障害・一般枠両方とも)。とりあえず就活というものに慣れる。クローバーとSANA(障害者版リクナビマイナビ)に登録して障害者向けの説明会にも応募しておく。幕張メッセとかでやってるような大規模就活フェアみたいなの時間の無駄なので行かないこと。
 ちなみにクローバーとSANAについてだが、UIが楽天並みにクソで本当に見づらい。

 

 あと就労支援施設と並行して新宿のハロワに通って職員の人に色んな相談・面接練習に付き合ってもらっていた。前述した施設もそうだが、ここであまり役に立たない職員の人を引いちゃうと全く身にならないので(この人、あんまりよくわかってないのかも・・・)と思ったら遠慮せず担当を変えてもらうか、程々の付き合いで済ませること。

 ここら辺、有能な人を引けるかどうかは運頼み。ソシャゲのガチャみたいなもん。自分の場合、施設で担当だった人・ハロワの職員さんはすごく頼りになる人(FGOで例えるなら孔明・マシュレベル)だったので色んな事を相談していたが、地域の就労支援センターの人は別に・・・という感じだったので事務的な付き合いのみだった。個人的な印象だが妙に優しい人より、ビジネスライクで現実を伝えてくれる人の方が良いと思う。

 ここら辺から全然知らない場所に行く機会が増えるので、余裕をもって一時間半前行動を心がける。(早く行って適当に近所のスタバとかで時間をつぶす)丸の内のオフィス街なんかは高層ビルのせいで電波が届きづらいのか、地図アプリを開くと現在位置の表示ががメチャクチャだったりする。パニックにならないこと。

 
 4年夏からは施設・ハロワの面接会に参加。ほぼ決まりだろ!という状態になっても内々定取り消しや「今年の障害者採用は無くなりました」という電話が来たりするので、ギリギリまで複数企業を並行して進めていくこと。
 

・履歴書の作成について
 大学で買った一般枠用の履歴書と、自分で書式から作った障害についての履歴書を2つ用意した。障害用の履歴書の内容についてだが、自分の思うがままに書かないこと。例えば自分の場合、会話が苦手なことは書いても良いが、物を異様になくすことは書いたらダメ(危ない奴なので)。
 

 また会話についても「話すのが苦手でよく黙ります。とっさに応答することができません」というネガティブな表現ではなく「メモを取る時間があれば、よりスムーズに会話することができます」など、前向きで会社が配慮しやすい内容に変えること。ここら辺の微妙な言い回しは教えてもらわないと中々書けない。(だから就職支援施設は大事) 

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障害版履歴書はこんな感じの簡単なやつ。文章も箇条書きでいい。

障害者枠の履歴書はほぼ手書き(ちゃんと字が書けるかも見られている)なので、字が汚い人は気を付けること。トレス台を使えばかなりのスピードで量産できる。

・会社選びについて
 障害別の割合を見ること。基本的に企業が欲しいのは聴覚・軽度身体(指が3本ないとか)・内部障害(内臓に障害有)等、身体障害者の中でも比較的手間のかからない人である。そういう障害者ばかり採ってる会社は多分応募しても意味ない。(ソ●トバンクとか)

 必ずクローバー・SANAに掲載されている企業情報(実績欄)をチェックして、「精神障害」の記載がない・または極端に人数が少ない場合はやめておく。逆に視覚障害者等、なんか手間のかかりそうな身体障害者の採用実績がある企業は発達にも理解があるかもしれない。
 
 あとキラキラ系特例子会社(親会社員=上級国民・メディア露出が多い・採用ページがオサレ)には要注意。ああいうとこは養護学校の天才や、元健常者(事故・病気で障害者になった人)でバリバリ仕事してた人が行くところ。(別に業務内容はそんな難しくない)

 単なる凡人の発達障害者は、よほど強力なコネ(取引先の社長の親族とか)がないと厳しい。GR●Eの特例子会社なんか発達にすごい優しい環境だと思うが、多分入るの凄い難しいんじゃないか? 

 

 雇用形態についてだが、契約・嘱託社員(正社員登用有)と求人に書いてる企業は、試用期間が過ぎればほぼ正社員になれるはず。正社員登用がなくても、障害者枠の契約社員は一般の契約社員と違ってかなり守られた立場なので、派遣切りとかにはあんま遭わないと思う。

 

・面接について
 必ず聞かれるのが通勤のこと。満員電車は平気か?朝起きられるか?等。駅から遠い辺鄙な所に住んでる人は、ここをちゃんと答えられるようにした方がいいと思う。
 基本的に企業側は(規則正しく行動できない→会社が嫌になる→無断欠勤からの行方不明or社内で暴れる)のコンボが一番心配だと思うので、時間通り行動できること・障害者ではあるがトラブルメーカーではないことをアピールしとけば多分大丈夫。一般枠の面接より全然ハードルが低い。


 ハロワ等が主催している合同面接会についてだが、発達障害者の男性の98%がいわゆる「チー牛顔」(冴えない眼鏡)なので「チー牛顔」自覚のある人はその日だけコンタクトにしとけば印象の残りやすさが全然違うと思う(これはマジ)

 

・待遇
 自分の場合一般事務職(最近だとエリア総合職呼び)と同じ待遇。以前ツイッターのアルファ発達障害アカウントが、月収40万とか年収700万とか管理職とか嘘を書き込みくっていたがそんな事には絶対ならないので安心しよう笑。特例子会社でも管理職はほぼ本社から出向してきた健常者のおっさんだと思う。

 男性発達障害者の中には「障害者枠で配慮してもらいながら働きたいが、給料が低いのでクローズド(障害者であることを伏せて一般枠で就労すること)で働くか悩んでる」と言う人がめちゃめちゃいる。一般枠で体調を崩してすぐ辞めるよりも、障害者枠で長く働く方が長い目で見れば高収入になるので、個人的には障害者枠の方が断然おすすめ。
 家買いたいとか結婚したいとかそういう贅沢はいい加減諦めること。

 

・最後に
 障害者枠での就労を考えているが、障害者手帳を持っていないという人が非常に多い。こういう人はハロワに行っても「まず障害者手帳を取りましょう」という話しかされず、すごい時間のロスなので(取得には最低でも2か月前後必要)、とくに就労予定がなくても絶対手帳を取っておくこと(とくに就労予定がなくても)
 あと履歴書の顔写真はプロに撮ってもらおう。